第10回 だんじりは岸和田のみにあらず
第10回は、「だんじりは岸和田のみにあらず」です。
最初にお断りしておきます。本稿は岸和田やそのだんじりを批判する目的ではありません。
筆者は町工場の街として知られている大阪府の東大阪市出身なのですが、子供の頃からだんじり囃子を聞いて育ったというと、
「岸和田ですか?」
と聞かれることが多くなりました。
「いえ、東大阪でもだんじりは盛んですよ」と答えるのですが。
大阪のだんじりといえば、岸和田が全国的に有名ですが、だんじりは岸和田以外にも、大阪市内、堺、東大阪、貝塚、尼崎、神戸市など、大阪府内や阪神間各地にあります。
こういうと、特に大阪近県以外の人には驚かれたりします。
参考までに岸和田以外のだんじりがどんなスタイルなのか、映像や動画で見ていただきましょう。
・平野区杭全(くまた)だんじり
・大阪天神祭 陸渡御地車(だんじり)講
・尼崎市貴布禰神社だんじり祭「山あわせ」
だんじりの台数も、岸和田市が78台に対し、大阪市が71台、堺市が67台、東大阪市が51台、神戸市が38台と、台数だけみると決して岸和田に引けを取らないこともわかります。
※参考資料:だんじり小屋ホームページ 各都市だんじり保有台数一覧
だんじりの形や運行スタイルやお囃子は、おおむね大和川より北か南か(泉州かそうでないか)によって大きく違います。 高速で角を曲がる、いわゆる「やりまわし」は、大和川より北側ではあまり見られません。おおむね、ゆったりと進行します。 でもなぜか不思議と、熱狂するもの。
ちなみに岸和田のだんじりだけが圧倒的に有名になったのは、ワイドショーや投稿ビデオ番組での「転倒/事故シーン」がきっかけですが、事故は本来、だんじりを持つ町の恥とされていることだとか。
最近は岸和田のだんじりを世に広めるブランディングの仕掛け人がいるのか、少なくとも地上波のテレビでは、転倒事故シーンを見なくなりました。
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大阪市内や東大阪市のだんじりは、岸和田や堺市のように一カ所で集中的に行われるのではなく、神社ごとに祭りが行われることが多いです。
それでも、いわゆる集中開催日というのがあり、10月の第2土曜・日曜と、10月15日前後と、7月15日前後がこの地域でのだんじりの集中開催日です。
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今回はだんじりについて紹介しましたが、たとえば「ねぶた」は青森と弘前以外にも青森県各地にあります。祇園祭にいたっては、全国各地に○○祇園祭と呼ばれる祭りがあります。おそらく京都の祇園祭を見てうちの町でもやろう、と取り入れたのでしょう。
現在ではよその祭りを簡単にまねすることはなくなりましたが、昔は旅先や仕事先で見てきた祭りを取り入れることはよく行われたのだと思います。
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